初期(2000〜2008)の作品では、果物などの日常的な物体を接写したり組み合わせたりすることにより、それらの物体から想像もつかないような<イメージ>を創り出し、既成概念からの越境を試みた。
具体的には、2000/2002年の個展、そして2003年の大学の卒業作品展示などでは、《日常物体−接写》シリーズを中心に発表した。また、2004年の個展では《境界の世界》シリーズを発表。それ以降2009年までの個展・企画展・グループ展において、随時《境界の世界》シリーズの新作を発表することも多かった。
2005年の個展『World Small』では、地図を使用した作品を展示した。地図上につけられた緑色のシミの境界を細密ペンで「なぞる」ことにより、地図という完結した記号システム=概念に再び流動性と多義性をもたらすことを企図した。
この個展で開発した「なぞる」技法は、《超意味絵画》《Picture x photo x picture》などの作品にも頻繁に使用され、最終的には2016年発表の《なぞる》シリーズに発展する。
この個展で開発した「なぞる」技法は、《超意味絵画》《Picture x photo x picture》などの作品にも頻繁に使用され、最終的には2016年発表の《なぞる》シリーズに発展する。
《超意味絵画》は、「境界」をテーマに様々な表現でドローイングを行った作品群の総称である。また、前述のインクのシミを「なぞる」技法を用いたドローイングも多い。不定形で流動的なかたちを「なぞる」ことによって、不定形で流動的なものがその複雑さと多義性を保ちつつ、「固定」し「記号化」することを試みている。
《Picture x photo x picture》は、《超意味絵画》作品を写真撮影し、プリントした上に再びドローイングを描き込むというシリーズ。最終的に、絵なのか写真なのか、その概念を撹乱することを試みた作品シリーズである。
《Picture x photo x picture》は、《超意味絵画》作品を写真撮影し、プリントした上に再びドローイングを描き込むというシリーズ。最終的に、絵なのか写真なのか、その概念を撹乱することを試みた作品シリーズである。
《ウロガバタフ》
当時銀座一丁目にあった現代美術の画廊「フタバ画廊」に勤務していた山本浩生と渡辺望で結成したユニット。「ウロガバタフ」を逆から読むと「フタバガロウ」。
個展『フタバ画廊』の為に結成されたユニット。
個展『フタバ画廊』の為に結成されたユニット。
個展『フタバ画廊』では、観客はフタバ画廊のなかで、その全く同じ空間で撮影されたフタバ画廊の映像を観ることになる。観客がその映像を観ている間、実は画廊の入り口に設置されたモニターに、現在の「映像を観ている観客」が映し出されている。観客は、自身が映し出されている時のモニター画面を、観ることは決してできない。
画廊全体が観客/作者/ギャラリストの視点を反転/撹乱する装置となっている。
画廊全体が観客/作者/ギャラリストの視点を反転/撹乱する装置となっている。